「ひとの居場所づくり」を切り口に、8名のゲストに仕事と暮らしのお話をうかがい

集まった参加者同士も話し合えるフォーラム形式のトークセッションが開かれました。

このサイトは2015.1.10-12に奈良県図書情報館で開かれた

「ひとの居場所をつくるひと」フォーラムのアーカイブサイトです。

自分(西村佳哲)は昨年、『ひとの居場所をつくる』(筑摩書房)という本を書きました。

「ひとの居場所」という言葉を目にすると、社会的弱者の身の置き場をどうするか?といったテーマを思い浮かべる人が多いと思います。

が、たとえば貧困や障害を抱える人々に限らず、むしろ勝ち組と呼ばれていたり、経済的にも身体的にも生育環境にも恵まれた、十分に居場所があるように見える人たちの中にも、この社会に居所のなさを感じている人は少なからずいるんじゃないか。

僕は東京生まれの東京育ちで、このまちが次第に、お金を使うことで居場所が得られる空間になってゆく過程を見てきた感があります。

お金のかわりに使われなくなったのは、感性と、想像力と、関係と、自分たちが生きてゆく空間を自分たちの手でつくり出してゆく力でしょうか。

先述の『ひとの居場所をつくる』は、田瀬理夫さんというランドスケープ・デザイナーの言葉を辿りながら、これからの土地利用と営み方をめぐった一冊でした。

そこで立ち寄れなかった、かつ狭義の福祉にとらわれない「ひとの居場所」と「そのあり方、つくり方」に触れたい気持ちが日増しに強くなり、このフォーラムと本づくりに向かうことにしました。

8名のゲストは、市政とカルチャ一、宿とセルフピルド、食を介したつながり、人間的な事業を営む会社、家族とともに育ってゆく家、ひとが語り・きき合える空間、学びという冒険、遊びを通じて子どもが力を獲得してゆく時間など、多様な形で、この地上にひとの居場所をつくり出しています。

中山間地であれ都会であれ、与えられた選択肢の中から賢く選んで生きてゆく消費者的なあり方ではなくて、「自分たちが生きて・働いてゆく場所を、自分たちでつくり出してゆこう」としている。

とくにその価値の交換・蓄積を、なにがしかの”場づくり”を通じて実現している人たち。小さくなってしまった自己実現という言葉を、大きくひらいてゆく仕事を実践している人たち。

震災から3年がすぎて、日本という国ないし力を持っている人たちによる縛りも厳しさを増してゆく中、一人ひとりの自立性や生きてゆく力も大切だけど、個人のサバイパルに泥濁せずに、小さな自治の単位というか、人が温まる場をつくり出してゆくことが日に日に大切になっていると思う。そのひとつの結び目として、三日聞のフォーラムと一冊の本づくりを試みます。

プレイベント

この地上にひとの居場所を

(約10分ダイジェスト)

西村 佳哲

にしむら よしあき

 

1964年 東京生まれ

リビングワールド代表、『自分の仕事をつくる』著者

ファシリテーター(聞き手)

武蔵野美術大学卒。建築計画の分野を経て、「つくる」「書く」「教える」3種類の仕事に携わる。デザイン・プロジェクトの企画立案とチームづくり、ディレクション、およびファシリテーター役を担うことが多い。近年はいくつかの地域プロジェクトにかかわるほか、「インタビュー」に関するワークショップをひらいている。最新刊は『ひとの居場所をつくる』。

●3日間まとめダイジェスト(14分)

●全フォーラム(約10分ダイジェスト)

森山 幸治

もりやま こうじ

 

1974年 岡山生まれ 岡山市議会議員、カフェ等のオーナー

福田 俊作

ふくだ しゅんさく

 

1946年 大阪生まれ

穂高養生園 オーナー

大学時代、音楽が好きで通い詰めたDJ Barのマスターの声掛けをきっかけに、就職には向かわず倉敷で洋服とレコード屋さんを開業。岡山へ移り、昼は洋服とレコード、夜はカフェバーになるお店「サウダーヂな夜」をオープン。以後他にも数店舗を経営しながら、街場の横のつj 8がりを楽しむ中、ある経緯で3年半前から岡山市議会議員に。市政とカルチャーシーンと福祉をつなぐ、様々な活動を展開真っ最中。(写真:中川正子)

一日二食の玄米菜食と程よい運動を通じ、自然治癒力を育む滞在を提供するリトリート施設「穂高養生園」のオーナー。食事・運動・休養こそ自然治癒力を高めるという思いから、1986年に安曇野に静養施設として開園。近年はヨガや自然菜食、デトックスなどの静かな滞在を求 '82゚る若い女性が多く集まっている。自然に沿い、自分の力を信じて生きてゆく暮らし方を求める若者たちが、人生の一時期に、スタッフとして身を置く場所として機能している側面もあり、とても面白い。

野村 友里

のむら ゆり

 

1972年 東京生まれ

料理人、eatrip オーナー

南沢 典子

みなみさわ のりこ

 

1967年 浅草生まれ

あきゅらいず美養品 代表

フードクリエイティブチーム「eatrip」主宰。フードディレクター。料理の道に進んだ背景には、おもてなし教室を長年開いてきたお母さまの影響があるとか。映画『eatrip』を撮り終えた後、カリフォルニア・バークレーにあるアリス・ウォータースの名店「シェパニーズ」に手紙を '8f曹ォ、渡米修業。その時間の中で得たものは、あらためて大きかった様子。帰国後、2012年東京・原宿で「restaurant eatrip」をオープン。食を通じて、人や場所・ものをつなげる仕事を展開している。(写真:nomadic-kitchen.orgより

シンプルなスキンケア商品が人気の「あきゅらいず美養品」創業者。高校卒業後、美容部員として就職した大手化粧品会社の入社式で「将来、社長になりたいです!」と明言した逸話は有名。騙されたような転職、一年間なかった給与支払い、離婚して二児を抱えるシングルマザーになり、一念発起の化粧品開発、中国薬科大学への直電アプローチなどなど、すごい体験談に事欠かないが、本人はきわめてあっけらかんとした風通しの良さ。

 

 

本城 慎之介

ほんじょう しんのすけ

 

1972年 北海道生まれ

森のようちえん「ぴっぴ」スタッフ

橋本 久仁彦

はしもと くにひこ

 

1958年 大阪生まれ

坐・フェンス 座長、ファシリテーター

学生時代に三木谷氏と出会い、一からプログラミングを学んで楽天市場のシステムを構築。副社長をつとめていたが、教育分野の仕事を始めるべく30歳で退職。横浜の中学校で全国最年少の校長を2年ほど勤めた後、大学進学前の高校生が仕事観を育む「仕事の学校」をスターJ 3g。僕はここで彼と出会った。現在は軽井沢に家族と居を移し、森のようちえん「ぴっぴ」の保育士として日々働いている。書ききれない。(写真:kodomonokatati.orgより)

カウンセラーであり、非構成的エンカウンターグループなどの場づくりを手がけるファシリテーター。「きく」ことに関する西村の師匠筋の一人でもある。人間疎外的な方向に整いやすい組織内のコミュニケーションを、一人ひとりの実感と、互いの体温を損なわないかかわり合いとして実現してゆくのが夢。最近は若い仲間たちと、「きく」ことを軸に土地を旅する仕事を重ねている。

高山 英樹・純子

たかやま ひでき・じゅんこ

 

1964/67年 能登生まれ

益子 木工作家、家族

内野 加奈子

うちの かなこ

 

東京生まれ

土佐山アカデミー ディレクター

英樹さんは、益子に工房を持つ木工作家。家具や空間を手がけ、益子・スターネットの初期段階でも腕をふるった。以前は服飾デザイナー。純l々の心を鷲掴みにしている。本当に心地良い。BRUTUSの名物特集「居住空間学 2012」で巻頭を飾ったが、本人はその家づくりに、一切プレゼンテーション的意図を持っていないだろう。

 

星や波、風などの動きを手がかりに外洋を渡る伝統的な航海術で、ハワイから日本を目指す五ヶ月の旅(2007年)を実現した「ホクレア号」のクルーの一人。慶應義塾大学 総合政策学部卒。ハワイ大学大学院で海洋学と写真を学び、2011年からは高知県・土佐山アカデミーで〝学びの場づくり〟のディレクターをつとめている。2014年は夏前後の数ヶ月間、イギリスのシューマッハ・カレッジに滞在した。

主催:課題「場所と人」出版プロジェクト 共催:奈良県図書情報館/ 弘文堂

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